現在の日本では多くのLCC(格安航空会社)が日本各地で路線を展開しています。
使用される航空機の種類は各航空会社によって異なっており、旅客数や飛行距離によって適切な機材を使い分けています。
その航空会社がどんな航空機を使っているのかというようなことも、また航空業界の面白さのひとつです。
さて、多くの格安航空会社(LCC) の路線で使用されている機体に、エアバス社の「A320」という機体があります。
この機種は1987年2月に初飛行が成功して、1988年6月にフランスのアブシーム空港で行われた航空ショーで、多くの観客の前でデモ飛行を披露しました。この航空ショーは「いわく付き」のものなのですが、それに関しては後ほど見ていきましょう。
A320はエアバス社のもっともメジャーな機種のひとつで、全世界で多くの航空会社が使用しています。
最新の設備と優れた飛行性能、そして高い安全性を兼ね備えた、素晴らしい航空機なのです。
A320にはいったいどんな特徴があるのでしょうか?世界中で大人気の旅客機「A320」について、これから詳しく見ていきましょう!
1.民間機初の「ブライ・バイ・ワイヤー」システムを導入!
エアバスA320の最大の特徴は、民間機としては世界で初めて導入された、「フライ・バイ・ワイヤー」システムにあります。
なんだか意味の分からない名称ですが、要は「コンピューターに意思決定の権限を与える」ということなのです。
従来の航空機では、パイロットが操縦桿やラダーペダルを操作したときは、油圧装置もしくは電動のアクチュエイター(駆動装置)によって、エルロン(補助翼)・エレヴェイター(昇降舵)・ラダー(方向舵)がそれぞれ動いていました。
これは自動車のパワーステアリングのようなものです。
自動車はパワーステアリングが無くても操作できますが、巨大なジェット旅客機は油圧装置やアクチュエイター無しでは、とても操作することができません。航空機の「生命線」というわけですね。
それに対してエアバスA320で導入された「フライ・バイ・ワイヤー」システムは、パイロットの操縦と油圧装置・アクチュエイターの間に、「コンピューターの制御」が介入するのです。
つまり、パイロットが操縦桿を操作すると、その情報がコンピューターに伝わり、コンピューターが最適な飛行姿勢を演算したうえで、油圧装置・アクチュエイターが機体を動かします。
この操作は航空機の操作を非常に簡単にしてくれます。
さらに言うと、「フライ・バイ・ワイヤー」システムが搭載された航空機では、航空機が墜落するような操作を人間がすることはできないのです。
例えば、航空機は急な角度で上昇すると「失速」してしまうため、非常に危険です。
従来の航空機では、パイロットが過失もしくは故意によってこのような失速姿勢を取ろうとしても、それを防いでくれるものは「警告音」くらいしかありませんでした。
しかし、A320では危険な操縦をするとコンピューターが感知してそれを防ぐため、このような危険な機体姿勢になることはありません。
つまり、コンピューターが人間に対して「拒否権」を持つというわけです。
とても安全な航空機になるというわけですね!
この「フライ・バイ・ワイヤー」システムは、実は軍用機の世界ではとっくに実用化されていたのです。
アメリカの軍需産業企業であるロッキードマーティン社は、1974年1月に「F-16」という戦闘機で、「フライ・バイ・ワイヤー」システムを用いた初飛行に成功しました。
実は、この「フライ・バイ・ワイヤー」システムの起源は、なんと戦時中の「零戦」にあるのです!
もちろん戦時中にはコンピューターはなかったので、まだアナログのものでした。
それをデジタル形式で発展させたのが、現代のシステムなのです。
大日本帝国海軍の軍用機は、機体の機動性が鋭敏であるために舵の制御が難しいという問題が伝統的にありました。
特に高速飛行中の操縦は極めて難しく、操縦桿を大きく引くと急旋回してしまって、パイロットが気絶することがあったのです。
これを解消するために、堀越二郎は零戦設計時に、操縦桿と舵を繋ぐ従来の金属ケーブルを、バネのような伸び縮みするワイヤーに変更しました。
高速飛行時には慣性の法則によってバネは長く伸びて、急激に操縦桿を動かしてもバネが吸収するため、
舵の重さを一定に保つことができたのです。
これにより、大日本帝国は物資も技術力も乏しいなか、こうした新しい発想によって、連合国の戦闘機を蹂躙する驚異的な性能を誇る、「零戦」を生み出すことに成功したのです。
この「フライ・バイ・ワイヤー」システムの他にも、現代の巨大な空母の原点は同じく大日本帝国海軍の「伊四百型潜水艦(I-400)」にあります。
また、大陸間弾道ミサイル(ICBM)やスペースシャトルの技術は、
ナチスドイツの「Vergeltungswaffe 2(報復兵器第2号・V2ロケット)」を基にしたものなのです。
世界で最初にジェット機を開発したのも、実はナチスドイツだったのです!
このように、連合国が平凡な兵器を大量生産して勝利を収めたのに対して、枢軸国は極めて先進的な発想と技術を駆使して、後の平和な文明への発展の礎を築いたというわけなのですね。
歴史とは皮肉なものですね・・・。
2.「単通路機」最大の機体幅!
さて、航空機には「ナロー・ボディー」と「ワイド・ボディー」と呼ばれるものがあります。
その名のとおり、「幅の狭い」ものと「幅の広い」ものです。
この「幅」というのは、簡単に言うと通路の数を表しています。
ナロー・ボディー機は通路を1つ挟んで2つの座席群があり、ワイドー・ボディー機は通路を2つ挟んで3つの座席群があるという按配です。
A320はナロー・ボディー機に分類され、通路を1つ挟んで6つの座席が並んでいます。
A320はこのタイプの航空機の中では最も機体の幅が広くなっているのです。
機体の幅が広いということは、それだけ機内が快適になるということです。座席の幅も若干ですが広くすることが可能ですからね。
また、貨物搭載スペースも広くなるため、貨物の積み下ろしもスムーズになります。
3.先進的な「グラスコックピット」を搭載!
機体構造やシステムの最新化にともなって、コックピットも当時としては画期的なものになっています。
以前のコックピットは、さまざまなアナログメーターが配置された古めかしいものでした。
しかし、A320ではそれが液晶モニターを多用した「グラスコックピット」を採用したのです!
現在の航空機ではグラスコックピットはもはや一般的なものになっていますが、その先駆者がA320というわけなのです。
その液晶モニターは全部で6基あり、アナログ計器はなんと12基しかないのです。
さらに、液晶モニターに表示される情報を操縦桿によって遮られることのないように、従来のようなパイロットの目の前にある大きな操縦桿ではなく、横に配置された「サイドスティック」を採用しました。
これも軍用機ではすでに採用されていたものでした。
このように、非常にすっきりとした洗練されたコックピットになっていますね!
従来のハンドルのような操縦桿から、ジョイスティック型に変わっているのも大きな特徴のひとつです。しかし、これについてはパイロットの間では賛否両論があり、ボーイング社の従来の大きな操縦桿を好むパイロットも多いです。
4.いわく付きの飛行ショー
実際の運行で、このような事態になる可能性はあり得ませんので、あくまでも飛行ショーという限られた世界の上で
「本来やってはならない、やるはずがない」操縦を、意図的に行った当然の結果として、以下の記事をご拝読下さいますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
こんな素晴らしい特徴が盛りだくさんのA320ですが、当初は問題点もありました。
先述の1988年6月にフランスのアブシーム空港で行われたデモ飛行では、なんと墜落事故を起こしてしまったのです!
航空ショーで旅客機のデモ機が墜落などというのは前代未聞だったので、世間を大きく騒がせた事態になりました。
衝撃的な映像のため当記事では引用を差し控えますが、YouTubeで検索すると事故時の実際の映像を見ることができます。
この事故の原因を簡単に説明すると、あの「フライ・バイ・ワイヤー」システムによるものだったのです。
パイロットが運行規定を無視して、非常に低い高度を飛んだため、コンピューターは操縦モードを「着陸モード」に設定してしまいました。
パイロットは墜落直前に推力を全開にして上昇しようとしましたが、コンピューターは「着陸モード」に入っているため、パイロットの操縦を無視して推力を下げました。これは着陸時には一般的な作業なのです。
そのため、デモ機はまるで着陸するかのように、滑走路の奥にある森林地帯に墜落してしまいました。
パイロットは生還しましたが、デモ飛行の見学のために搭乗していた搭乗客に死傷者が出てしまいました。最新鋭機がデモ飛行中に墜落というショッキングな事態は、瞬く間に世間を騒がせたのです。
また、事前に飛行計画を綿密に練っていなかったり、飛行場付近の地形を確認していなかったり、運行規定を無視して無謀な行動をするなど、責任感のない・いい加減な手抜き作業が、この事故の大きな原因のひとつでもあります。
しかも、機長はエールフランスや政府による陰謀説を唱え始めました。そういうフランス人らしい悪あがきも、なおさら世間の非難を高めることになってしまいました。
結局は、コンピューターを使いこなすことのできない人間が、コンピューターに支配されてしまったため、この事故は起きたということなのです。現代人への非常に強い警鐘でもありますね。
このデモ飛行機の墜落事故の他にも、「フライ・バイ・ワイヤー」を搭載したエアバス機では、同様の墜落事故が他にも起こっています。
原因はどれもパイロットの操縦ミスや、コンピューターへの過信によるものです。
しかし、A320が危険な旅客機というわけでは決してありません。現在では「フライ・バイ・ワイヤー」システムはほとんどの旅客機に搭載されており、パイロットへの教育も徹底的に行われています。
そのため、現在ではもはやこのような事故は、起きる余地がなくなっているのです。
むしろ、ミスを犯しやすい人間の失敗をカバーして、正しい操縦を自動的に行ってくれるコンピューターシステムの存在は、非常に安心感のあるものなのです。
5.エアバスA320を使用している格安航空会社
次のような格安航空会社(LCC)や中堅・地域航空会社が、エアバスA320型機を使用しています。
路線や時期によっては別の航空機を使用している場合もありますので、ご了承くださいませ。
・ピーチ航空(すべての路線をA320-200型機で統一!)
・エアアジア(短距離路線で使用)
・バニラエア(すべての路線をA320型機で統一!)
・ジェットスター(一部の路線で使用)
・スターフライヤー(すべての路線をA320型機で統一!)
・春秋航空(中国国内路線で使用)
このようになっています。多くの格安航空会社(LCC)ではすべての路線を同じ機材で統一しているところがあります。
それはなぜでしょうか?
実は、それも「コスト削減」の一環なのです。
航空機の整備には莫大な費用がかかります。かといって、整備をいい加減にするわけには決していけません。
そこで、格安航空会社(LCC)ではできるだけ同じ機種を使用することによって、整備コストを抑えているのです。
使用機材を統一することで、必要な整備士も最小限の人員で済むのです。
格安航空会社は、このような不断の努力で、運賃を極めて安くできているのですね!
6.おわりに
以上が世界中で多くの航空会社で使用されている、大人気の旅客機「エアバスA320型機」の詳細となります。
いかがでしたか?
ぜひ格安航空会社(LCC)で、A320でのお得で快適な飛行をお楽しみください!
====================
※本記事は現時点の情報にてご案内いたしております。
航空会社規定等は航空会社の判断により随時変動しておりますので
最新情報はお客様ご自身にてご確認頂けますよう
お願い申し上げます。予めご了承くださいませ。
====================
何か不明な点やご質問等、ありましたら、
以下よりお気軽にお問合せください!
メールでのお問合せはこちら:
お電話でのお問合せはこちら:
国内線ご予約は ↓
.
国際線ご予約は ↓
.
LCC(格安航空券)、
JAL(日本航空)・ANA(全日空)の航空券予約は
⇒ リアルチケット
.